するとリリーは困惑した顔で言った。


「その糸がシャーマの部屋に? 一体全体その糸はなんなのかしら?」

「それは神の御石から国民全員に伸びている。
そしてその糸が国民の考えを制限し、国民が外国の存在をまったく知らないし、探そうともしないことに通じる。

どうあっても、この国から出て行くことのないように思考を制限し、国を存続させようとするんだ」

「どうしてそんなことを?」


マリンが首をかしげて尋ねた。


「それが国をつくった当時の人々の願いだったからさ。

『死にたくない』『争いのない、自分たちだけの鎖された世界を』

願いを聞き入れた神様はそれを忠実に叶えた。その神が拾って魔法をかけたオパールが結界の役目をし、人々が鎖された世界から出て行かないようにしてるんだ。

ここまではいいか?」


三人は頷いた。
鏡はすこし笑って反応を確かめた。
まるで、この話が出来ることを喜んでいるかのように。