青年はちょっと考えてから口を開いた。


「僕は椅子を持ってない。だから椅子の代わりはないけど、他に何か出来ることはないかな?」


それを聞いたマリンは一気に輝く笑顔になった。


「城に連れてって!!」


青年は目を丸くした。


「城? 城って王様のいるアレかい?」

「それ以外に何があるのよ?」

「い、いやぁ…思いつかないけど…」


じゃあ! とマリンは彼に迫った。
彼は抱きついてくるマリンを困った顔で見つめる。

涙目で弱弱しく「お願い…」というマリン。

青年は頬が高揚するのを感じた。