ここにいる誰しもは自分が国の王女だとは少しも知らないで暮らしている。
知る必要すらもないのだ。
知らないでも十分生きていける。
ここの人々はマリンのことどころか国の情勢や、政治のことすらも知らないでも、ここでひっそりと食べ物を作り、生きていくだけですべてが十分なのだ。
そんな渦中に自分が放り込まれ、ここで何をしろというのだろうか?
花嫁修業?
マリンはフッと笑った。
──笑わせないでよ。私が一般の人間の家に嫁ぐとでも?
──ありえない。だとしたら、何で…?
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