部屋に居た者たちは視線を床に落とした。
リリアは緊張の面持ちで反応を待つ。


今まで彼女を嫌ってきた彼らが今何を考えているのか。

それは私にはわからない。

でも、何かはきっと変えられたと私は信じたい。

もう一度、祈るような視線で部屋を見渡した。


と、そのときバァン!と大きな音が部屋中に響き渡り部屋に居た全員がその轟音に飛び上がった。


皆が目を丸くして見つめたドアの先には、大柄な男が恐ろしい形相で立っている。

新人コックが恐怖でヘナヘナとした声で男の正体を告げた。

「りょ、料理長…」