「脱走の日、ゴーシェさんが言ってたよ。何であんたは城に…しかも一番ターゲットに近いところにいるんだ。
出来るなら、殺したくないって。

本当にごめんね、リリア」

「!!」


リリアは後ろから羽交い締めにされていた。


「敵から目を離すなって言われなかった?」

「くっ…」


ラミアは袖口から細い針を取り出す。
針の先端からは怪しげな液体が滴っている。

それをリリアの首筋にあてがった。


「大丈夫。これは錯乱したりはしないわ。
綺麗に殺してあげる」

「あなたも教えられたはずだよ。
敵を捉えた時こそ油断するなって――さ!!」


リリアは腕の拘束を無理やりとると針を持った腕を掴み、ラミアを投げた。


「かはっ!」

「まだよ!」


床にうつ伏せで倒れたラミアの両手を取って首筋に刃を突きつけた。


「…一緒にいれて楽しかったよ」

「あたしもさ
こんなとこで会わなかったらよかったのに」

「ホントにね…」


二人は、僅かに笑みを交わして――


「「バイバイ」」