「昔のローズに言ってもきっと聞かなかったわ。

そんな時だった。あんたの旦那になるのも、そんなやつさ」

「私はそんなことしない。そんなことするような相手も選ばない!!」


そう叫ぶと、マリンは大きな音を立てて出て行った。


静けさが戻ると、ゴーシェは口を開いた。


「あの子には可哀想なことしたね」

「もう、どうでもいいわ。私は疲れた、身勝手なものだけれどね。

…ねぇ、ひとつ聞いていい?」

「なんだい?」

「何であんたは捕まってるの?
あんたなら縄脱けでもして逃げ切れるでしょう?」


ゴーシェは少し驚いたように目を見開いた。
そして、フッと微笑む。


「…我が儘なお嬢さんを孤独に死なせられないだろう?」

「…物好きね…」


ナナイは目を閉じ、ゴーシェは空を見上げ微笑んでいた。