「ナナイ・ラル・ド・ベリル
言いたいことがあるなら聞いてあげる。さっさとしなさい」
ナナイは、首をちゃんとマリンに向けた。
その目は疲れているが、確固たる意志が見受けられた。
急に変わった雰囲気にマリンは緊張する。
ひとつ深呼吸をするとナナイは語り出した。
「長い…昔の話さ
かつて、私とローズは仲のいい友達だった。
楽しかったよ、あの頃は――
でもある日、全てが変わった。
あんたの父、シャーマが妃をめとるために貴族の娘との見合いが組まれることとなった。
何処の貴族も自分の娘を妃にしようと必死だったわ……馬鹿みたいにね。
でもそれは私にもローズにも当てはまっていた。


