「用? 用ってほどでもないけれど……あんたは知りたいだろう?」
クククと不気味に笑いながら目だけでマリンを見つめる。
あまりの気味の悪さにマリンは今すぐに逃げ出したい気分だった。
でも、それと同じくらいの力でここで聞かなければ、という自分がマリンをその場に縫い付けていた。
「皆、席をはずしてくださる?」
「は?」「姫様何を!」
マリンを取り囲む騎士団はどよめいた。
しかしマリンは譲らなかった。
しばしの問答の末、騎士団の者は全員小屋から出て外で待機した。
小屋には三人だけ。
マリンはベリル夫人を振り返った。
「これで満足?」
「それはあんたでしょう? 別に私はあいつらに聞かれたってなんともないさ」


