しばらくすると、地上の開けた場所に出た。
その先に掘っ立て小屋というのがふさわしい小さな家。
「あの中に拘束してあります」
「うむ」
一行は馬を降りて小屋に入った。
中は質素そのもの。台所とテーブルに椅子しかない。
二人の人物が椅子に縛られている。
一人はゴーシェ、もう一人は、マリンには見覚えがあった。
女性で、上の空で天井を見つめながら、口だけは笑っている。
遅れて入ってきたドリーシュがもう一人を見たとたんに驚愕の声を上げた。
「あなたは、ベリル夫人!!」
──やっぱり、ね
幽体離脱したときに見たほど老けてはいないが確かに面影がある。
「まだ、私に何か用があるの?」


