Snow Princess ~雪の華~


「でも時間がないの。早く行かなきゃ」


歩き出そうとしたリリアをキーファは抱き締めた。


「終わったら、ゆっくり話そう。全部聞かせろよ」

「うん」


また二人は見つめあう。
リリアは小さく頷いて走って部屋を出て行った。

そう、時間がないのだ。

訳は、少し時間をさかのぼる。


マリンのペンダントを取りだし、リリアは言った。


「ねぇ、あなたって虚像を映すことは出来ないの?」

「はぁ?」


鏡はすっとんきょうな声を上げた。


「お前俺が何て呼ばれてるか知ってる?『真実の鏡』だぞ?」

「じゃあ、無理か…」

「……出来ないこともないぜ」