マリンの足から完全に力が消え失せた。 へたり、と力なく座り込んだマリンの目はどこも見つめてはいない。 少女はマリンを冷たく見下ろす。 「マリンちゃん?」 “母”の声で少女は振り返る。 その目には先ほどの冷たさは何処にもなかった。 ――私の…… ――私のお母様が、知らないダレかを私だと… 『いらないのよ』 ――いらない? 私が? 王女なのに? 母と“マリン”が楽しげに談笑している。 自分をおいて。 そこに自分はいない。 言葉は一切耳に入らず、そこにある風景だけが無機質に巡っていた。