少女はぴたりと笑いを止めた。 目だけがぎょろりと回ってマリンを視界に入れた。 「あぁ…やーっと聞いてくれた…フフフ」 少女はうれしそうに口の両端を持ち上げた。 首をがっくりとしたにもたれると、肩が小刻みに震え始める。 そして、自分の肩を抱いて震える肩を押さえつけるが、顔は堪えきれないといった風にゆがんでいる。 声を出さずに笑っているのだ。 マリンはあまりの気味の悪さに、一歩後ずさった。 少女は唐突に立ち上がると、恐ろしく優雅で美しいお辞儀をして言った。 「初めまして──お姉さま」