──いけるかもしれない!


何の根拠があったか、そんなことを思った。
幸い、小部屋にも松明がついていて部屋は煌々と照らされている。

腕は使えない。
足も立つのがやっと。

それでも、マリンは立ち上がることが出来た。

体を左右に振って、すり足でドアまで近づく。
そこで後ろ向きになり、ドアノブをつかんだ。

動かしにくい手首ではなかなかうまく戸は開いてくれなかった。
おまけにしびれて握ることもうまく出来ない。


かなりの時間をかけて、マリンはドアを開けることに成功した。


「やったわ! これで私も出られたわ!」



部屋には案の定誰もいない。

小机の上に、小さなナイフが置いてあった。