「確かに、死ぬほど忙しかった。でもそれがありがたかった。何も考える暇がないのはかえって楽よ。
それにもっと大きな心配事も、出来たしね!」

「心配事?」

「あそこで楽しく踊ってるお人よ」


リリアはいたずらっぽく笑った。


「寝る前すらも明日はこうしてああして―って考えると、昔のことなんて全く考えている間がなくなったもの!」

「そりゃ、えらいことで」

「全くよ!」


二人は顔を見合せ笑った。