ようやくリリアが背後につけた時マリンは、マリンより少し小さな女の子と話していた。
あれは確か──
リリアは事前に来場者のリストを受け取り、顔を覚えていた。その中の一人を思い出す。
そうそう、ヘレナ・ミーサ・ド・ベリル
教皇の娘で、この国ではマリンの次に権力のある女の子。
その彼女を間近で見て、リリアはなんともいえぬ違和感が脳裏をかすめるのを感じた。
マリンもリストを頭に入れているはずなのだが、色々と危うく、リリアが耳打ちして教えた。
ようやく、おしゃべりの嵐も落ち着き、リリアはマリンから少し離れた。
食事のテーブルが隅に片付けられ、真ん中に大きなスペースが出来る。
すると男女ペアの組がいくつか進みでると曲が流れ始めた。
ダンスだ。
最初の組の中に、勿論主役であるマリンがいる。
相手は、この間の騒動の相手でもあったシーモアだ。


