「お母様ぁッ!! イヤッ! いっちゃやだぁ!」 どんなに母に向かって叫んでも どんなに母に向かって手を伸ばしても 何もかもが、届きはしなかった。 入り口の外に押し出されても、視界が涙で滲んでも その目はただずっと、ひたすらに、母を見つめていた。 母を担いだ黒装束の者たちが、割って入ってきた窓から居なくなるまで。