シャーマは無造作に椅子に座ると苦笑しながら
「マリンか」
と、言った。
隠せはしないと諦め、リリーは小さくうなずくしかない。
ため息をつきシャーマはリリーに問うた。
「今度はどうした?」
「城を抜け出して城下に……今は侍女のリリアと騎士団の一人が探しに出ていますわ」
「抜け出した? それはまた……」
「申し訳ありませんわ」
リリーは頭を下げた。
シャーマは一瞬目を丸くし、笑いだした。
「…? どうしました?」
「あいつが出て行ったのはお前の責任ではなかろう。気に病むな」
リリーは首を横に振った。


