Snow Princess ~雪の華~


一方、リリアを城下へと送り出した後、リリーはそわそわと何も手につかずにいた。

コンコン


「どうぞ、お入りください」

「どうした? せわしないな」


部屋の中を歩き回るリリーはぴたりと動きを止めて訪問者を見た。

珍しくあわてるリリ−に面食らってドアのところにたっていたのは、国王シャーマだった。


「これは! 陛下!」

「別にこのような時は敬称などいらぬと言ったはずだ、リリー。
それより、どうした?」

「あ、それは…」


リリーは視線を下へ落とす。
シャーマはそれを見逃さなかった。