十字架

確かに、以前サイトの都合でIDと本名を書き込んだ。


だけど…、

「なんで、知ってるんだ…?」


「ごめんね?あれやったの私なの。ねぇ…、『浜ちゃん』さん?」


秘書の金屋は渡辺の知っている名前をあげた。

「…やめろよ!」

渡辺の後方に一人の男が歩いてきていた。

きっと…あれが、
『浜ちゃん』本人なんだ。

「あ、本名で紹介されたかった?ごめんね、『中原 富』くん。」

金屋はそう言うと、馴々しく肩に手を置いた。

初対面じゃないのか…?
初めて会うのに…、なぜそんなに馴々しく…?