「八橋さん、聞きましたよ。例の『アレ』を。」 「あ、あぁ…あのぅ…」 八橋は悶えている。 渡辺の一言一言が末恐ろしいのだ。 「なんでも、私の会社との契約は嘘だったらしいじゃないですか…」 「………は、あの。」 「私の後輩になんて言いましょうか…上司も御冠でしょうね」 言葉は物静かに聞こえるが、八橋の見る渡辺の顔は強張っていた。