――――秋。


あたしは遠く離れた寮のある高校に転校することを決めた。





























「.....日向ちゃん、本当に行くの?」


お母さんが眉をへの字に曲げて、行かないでと目で訴えながら言う。


「うん、行く。あとね、お母さん...」


「....どうかしたの?」


次は少し不安げな表情もちらつかせる。


あたしはお母さんの目をまっすぐに見た。
深呼吸をひとつ。お母さんとは当分の別れになるから、勇気を振り絞った。









「..あたしは日向(ひなた)じゃないよ。」










お母さんは驚いたようなショックをうけたような、、、真実だと思って信じてきたことを覆された、そういう顔をした。そして消え入りそうな声でごめんなさいと、泣かれるのも困るからもう一言は飲み込んだ。



















――――――あたしは日影(ひかげ)だよ。