握られている手を振り払うのも感じ悪いかなーなんて思うけど、だって心臓が張り裂けそうなんだもの。

放してほしい……。

で、でも離れたくない。


二つの思いが交錯し、先輩と繋がった左手を見つめた。





「つか…お前んちどこだよ」


「……」


ドキドキドキ…。


「おい…聞いてんのか?」


「……」


ドキドキドキドキ…。


「おいコラ。…悠由」


「っ!」


名前を呼ばれただけなのに。

速まっていた鼓動が、一際大きく跳ねた。


…び、びっくりした…。

心臓止まるかと…。


「だから聞いてんのかよてめぇは」


「へっ!? な、なんでしょう!」


痺れを切らしたような怒りを含んだ声色に、ビクンと肩が揺れた。


「チッ……たく。お前んちどこだ?」