肩をすくめ、手を引っ込めた。


「あ……」


「ん?」


「……」


なにか言いたそうに振り返り、切なげに瞳を揺らす。

左手は、密かに俺の服の裾を掴んでいる。


「どうした?」


「あの……でもあの…」


「?」


「あの……ぎゅうはしてほしい…」


……。

なにこの可愛さ。


顔を赤くして俯きがちに言う姿に…負けた。

なんとなく色々負けた。


「…ぎゅうだけですむと思ってんの?」


「えっ……にゃあ!?」


ぐいっと腕を引き、向き直させて抱き寄せた。


「…ぎゅうだけがいい」


「いや」


「……」


諦めたらしい悠由を……時間いっぱい堪能した。