俺様狼と子猫少女の秘密の時間①


――悠由サイド――


「…!」


浅い眠りについていたあたしは、誰かに呼ばれたような気がして、飛び起きた。


「……先輩…?」


…気のせい、だよね…。

あたし先輩のこと考えすぎなのかな?


でもなんか……なんか、嫌な感じがする。


「……」


気のせい、だよね…?

ね…先輩。


すっきりしないままに、もう一度布団の中に潜り込んだ。


でも……それから朝まで、一睡もできなかった。


こんなの取り越し苦労だよ。

明日になったらきっと…なにごともなしに電話がかかってくるに違いない。

「先輩がいなくなっちゃうかと思った」って言ったら…先輩きっと、「ばーか」って言って笑うんだ。

「俺がいなくなるわけねーだろ」って……。



…笑うんだ…。




その淡い夢は、叶うことはなかった。