――悠由サイド――
「…!」
浅い眠りについていたあたしは、誰かに呼ばれたような気がして、飛び起きた。
「……先輩…?」
…気のせい、だよね…。
あたし先輩のこと考えすぎなのかな?
でもなんか……なんか、嫌な感じがする。
「……」
気のせい、だよね…?
ね…先輩。
すっきりしないままに、もう一度布団の中に潜り込んだ。
でも……それから朝まで、一睡もできなかった。
こんなの取り越し苦労だよ。
明日になったらきっと…なにごともなしに電話がかかってくるに違いない。
「先輩がいなくなっちゃうかと思った」って言ったら…先輩きっと、「ばーか」って言って笑うんだ。
「俺がいなくなるわけねーだろ」って……。
…笑うんだ…。
その淡い夢は、叶うことはなかった。

