「なにを……」と呟く先輩の手を引っ張り、病院を出た。

今日は比較的あったかい。

歩いて帰るのを許可された。(先輩に)



「たっだーいまぁ~♪」


先輩が帰っていく後ろ姿を見てたらちょっと悲しくなったけど、気を取り直してご機嫌で家に入る。


「悠由!」


「おねーちゃあん?」


…と、入るなりすっ飛んできて飛び掛ってきた二つの物体。


「な、那智兄…由那…」


「ちょっと二人とも。悠由は怪我してるのよー? やめなさい」


ママが介入してくれたおかげで助かった。

首……絞め殺されるかと思いましたよ。


「お前お前…一人で帰ってきたのか? そうだよなそうだよな。まさか電話の男なんて関係ないよな?」


「那智兄……キャラ崩壊」


クールでかっこいい那智兄はどこ?

これ、誰?


リビングに行く間もちょこまかとあたしの周りでそんなことばかり聞き続けるのだ。

こんなの那智兄じゃない!


「ママー…のどかわいちゃった」


右手を使えない今の状況。

冷蔵庫を開けて飲み物を取り出してetc...といった作業ができないあたし。


「お茶でいいよね。…ところで悠由、なんかいいことあった?」


「……え?」