俺様狼と子猫少女の秘密の時間①


――悠由サイド――


「うっ…う……! ばか…ばかぁ~」


先輩に向けての言葉なのか、自分に向けての言葉なのか。

それは分からない。


屋上への階段の踊り場で膝を抱え込み、なんだかよく分からない涙を流し続けた。




「悠由…?」


どのくらい経っただろう。

少なくとももう授業一時間は終わったはず。


そんな頃、下のほうから優しい声がした。


「どうしたの! なにがあったの!?」


駆け寄ってきて、抱きしめてくれる杏子。

その温かさに、止まりかけていた涙が再び溢れてきた。


「きょう…こ……うあーんっ!」


「悠由……」


しがみついて子供みたいに泣きじゃくるあたしをなだめてくれる。


ばか……ばか。

あたしのばか。


先輩にひどいことした。ひどいこと言った。


部屋を出る直前に見た先輩の顔……。

ひどく傷ついた顔をしてた。


ついカッとなってあんなこと言っちゃったけど…。

傷つけちゃったよ……。