「っ…はあっ…!」
「悠由…?」
思わず、驚いて声をあげてしまった。
何でコイツ……泣いてんだよ…。
右手の甲を口元に当て、左手を掴んでいる。
時折鼻を啜る音だけが室内に響いた。
「おい…」
「っなんで!」
「は…?」
甲高い声で叫ぶ。こんなに取り乱すのを見るのは…初めてだ。
「あたしじゃなくたって他にもいっぱい綺麗な女の子とかいるじゃないですか!」
「は…?」
「もうっ、もう……やめてください……」
泣き叫んだかと思うと、しゃがみ込んですすり泣く。
俺は…こいつを傷つけた…のか?
「悠…」
「先輩は所詮あたしにとって雲の上の存在なんですっ。だからあたし…!」
呼びかけようとすると、ガバッと顔を上げて強く遮られた。
そしてそれだけ叫ぶように言うと、地面を蹴って教室を飛び出していった。
「……」
くっそ…なんなんだよ……。

