そこを右だ左だと、瀬沼桃の自宅への道を聞きながら中野はハンドルをきる。学校から、そんなに離れた場所に住んでいるわけではない、ということが解った。 「そこ、です。」 「ここか?電気が全く点いていないけど。」 「……、親がまだ帰ってきてないから。」 「そうか……。」 「ありがとうございました。」 最後は丁寧に礼を言い、瀬沼桃は車から降りた。それから、玄関のドアの鍵を開けて、家の中へ入っていく瀬沼桃の姿を見届けてから、中野は再び車を走らせた。