今から3ヶ月近く前。

季節は肌寒く春にはまだなりきれていない、3月の中頃。


天音と出会ったのは、夜の帰宅ラッシュを少しすぎた時間の最寄り駅だった。





「わっ!」「きゃ、危ないっ」「おっと……」「わあっ」何人もの驚いたような声が上がり、改札を出てから数メートルのところで足を止めた。

何事かと振り返ろうとした俺の肩を、後ろから衝撃が襲う。


「っ、」

声には出さなかったがかなりの衝撃に驚いた俺の横を、凄い勢いで制服を着た高校生男子が2、3人駆け抜けて行ったのを呆気にとられて見ていた。

騒ぎ、はしゃぎながら走って行く高校生はさらに人にぶつかりながら駅を出ていった。


ああ、あいつらにぶつかられた人が声をあげてたのか。

後ろを振り返り、荷物を落とした人や腕をさする人を見ながら思う。