歩くだけでも絵になる彼がそんなことを、さも当然だと言わんばかりにやってのける。


天音はここで初めて微かに身動きをして、

そんな天音の耳元で、



「もう少し寝てろ」



と囁いた諏訪さんの声は、私にしか届いていなかった。



一緒に送るよ、と諏訪さんのありがたいお誘いを私が受けることはなく。

2人を店の出入り口のとこまで見送ると、

一部始終を見ていた飲み会のメンバーによって強制的に居残りにさせられた。

そのあとは、地獄の質問攻撃が待ち受けていて、話は聞いていたけど今日初めて会った天音の彼氏を私が詳しく知るわけないのに、酔った勢いもあってみんな本当にしつこかった。




――――天音、確かにあれはメッセージの返事がなくても許してしまうね……。