あっさりと私から離れた諏訪さんは、なに買うの?と言いながら先に行ってしまう。


カットソーに、細身のスキニーデニムを着ただけのシンプルな格好でも、

その有り余るほどの色気とスタイルのよさで、スーパーにいるたくさんの人の目を惹き付ける彼。


距離はそんなに開いていないのに、なんだか少し遠く感じてしまう。



「―――諏訪さん!」

待ってください、と口に出す前に振り返った諏訪さんが立ち止まる。



「お前はいつまで『諏訪さん』なの?」





――――それは、とても特別な響きを私も許可された瞬間でした。