「お兄ちゃんは一人ですか?」

「……そうかもな」

「?」

少し目を細めて、また目の前の台に視線を移してしまった。


「……天音も、お家ではいつも一人ですよ」

「え?」

「おじいちゃんは別のお家にいるから、自分のお家ではいつも一人です」

「……」

「お父さんもお母さんも、お姉ちゃんが大好きなんです。だから、私のことはあんまり見てくれないけど……」

「……姉ちゃんが嫌いか?」


そう聞かれて少し考えてから、首をぶんぶんと横に振った。

「お姉ちゃんはすごいんですよ!お勉強も運動も、ピアノも作文も何でも出来るんです!だから、お父さんたちが私のことを見てくれるように私もお姉ちゃんみたいに1番になれるように頑張りたいんです」

でも、すぐにこうやっておじいちゃんとお散歩に来ちゃうけど。
そう言って照れると、お兄ちゃんは優しい顔になった。