「私が何をやっても、言っても、お父さんたちを振り向かせることが出来なくて、わがままを言っても、泣いてもダメで。……そのうち、私、泣くことが出来なくなったんです」

知らなかった。

妹はあまり泣かないとは思っていたけど、まさか全く泣けなくなっていたとは思ってもみなかった。


「智く、諏訪さんはそのことを知っていて、ずっと私が泣けるように……泣く事が出来るようにしようとしてくれていたんです」


健気で真っ直ぐな妹は、自分を追い詰めすぎて泣けなくなっていたなんて。

「だから、その、あれは……、ご！ご褒美というか、なんと言うか〜」

話しながらもじもじと恥ずかしそうに俯いた。


「そう、だったんだ……、今まで、ひどいことして本当にごめん」

真っ直ぐすぎる妹に感化されたのか、思ったよりもすんなりと私の口から謝罪の言葉がでてきた。