「そんな大好きなおじいちゃんが、い、5日前に、亡くなったんです……っ」


喉から必死に声を出す彼女が辛そうで、このまま言葉を遮り話さなくていいようにすれば楽になれるだろう。

でもその代わり、二度とこの話も聞けなければ、彼女と会うことも叶わないような気がした。


「お通夜もお葬式も全て終わって……、可愛がってくれていたおじいちゃんがいなくなったことも受け入れて……でも」

言葉を切った彼女が静かに視線を上げて俺と合わせると、


「私おかしいんです」


さきほどよりも冷静な声を出す。




「そんなに大好きなおじいちゃんが亡くなったのに、……泣けないんです」


思わず彼女の頭を撫でていた手を止めて、そのまま指を目元まで下ろすと。

親指の腹で目尻を優しく撫でた。