腰にある智くんの腕がわずかに力が入り反応したのがわかった。


「付き合ってから何度か家まで送ってくれてたんですけど、ある日の学校帰り、家の前でお姉ちゃんと彼が鉢合わせて」

中学生にしては身長も高く、大人っぽかった小諸先輩。

その時のお姉ちゃんにはちょうど付き合ってる人もいなかったらしく……、

「お姉ちゃんに、この人誰?って聞かれて彼氏って答えられなかったんです。学校の先輩って、同じ委員会でって、それしか説明しなかった私が悪いんです」

お姉ちゃんが先輩に興味を持った。


中学生には高校3年生はかなり大人に感じたのだろう。
先輩は綺麗で大人なお姉ちゃんからのアピールに次第に負けてしまった。

その頃の私はまだ、手を繋ぐだけでも緊張するような子どもで、4つも歳の離れたお姉ちゃんには到底敵わない。


引き止めて縋り付くこともしなかったし、

しょうがない。といつもの様に諦めていた。