そんな説得力のない言葉。


私は絶対に信じないんだから。


悠雅は小麻里ちゃんのことが好きなんだから。


そう頭の中では思っているのに

何故だろう。


「………っう、え、え、うん…」


こんなに涙が溢れてくるほど
勇気付けられてしまったのは……

こんなにも心をホッとさせてくれたのは…


「ぶ…変な顔………」


そう言ってまだ私の顔をグリグリもしている無邪気な年下の聖斗だった。


変な顔って言われたらいつもだったらムカついて手を払いのけてしまう。


でも今だけはなんだか、落ち着いてしまっていた。


「じゃ、俺行くから」


まだくすくすと笑っている聖斗は
私の頭を軽く叩くと
今度こそ、自分の下駄箱の方へと歩いていく。


私は自分の頬に流れる涙とぐいっと手のひらで拭き取り、まっすぐに聖斗の背中を見つめる。



「ありがとう………」


今まで影で私のことをささえてくれて……


今まで言えなかった感謝の気持ちが
やっと口から小さな声としてこぼれ落ちた。


でもその小さすぎる声は聖斗に届くはずもなくて、私ははぁっと息を吐き
自分の下駄箱の方へと歩き出す。



そんな私と聖斗を

見ていた…



遠くから見ていたのは………



























「美、夜………」



悠雅だった。