「行ってきます」



そう言ってあたしは
家から出る。

暑い暑い夏が過ぎて
少し肌寒くなってきた。


光太は文化祭の演劇の練習で
先に出て行ってしまった。


あたしは一人で
学校に行くまでの道のりを
トボトボと歩く。



「……」


最近、頭の中が真っ白だ。



悠雅と小麻里ちゃんが
あたしの家に来てから
2人のことを何も考えないようにしてきた。


だって考えたら
キリがないし……


それに、あたしは
悠雅の事諦めるって決めたんだもん。


小麻里ちゃんまで
あたしみたいな思いになって欲しくない。


だから……。





「はああああああ……」


ってなことを考えて
あたしはいつもため息を吐いてしまう。


考えないように………しないと……。



そう思って
あたしは下に向けていた頭を
勢いよくあげる。


すると……



「あっ」


「え」