だから、あたしは……悠雅に…




『もう信じない』


そんな嘘をあなたに言った。


あなたの傷つた顔。


あたしは多分、一生忘れない。


目に焼き付いて
あなたの顔が離れない。


まだ、ドアの向こうで
あなたがいる気配がする。


















暑い夏。


ずっと外にいたら
倒れてしまうよ?


しんどくない?

熱中症にならない?


心配だよ、君のこと。



この玄関のドアを開けて
君に話しかけたいよ。


『大丈夫?』


そう言ってあげたい。

そう言いたい。


悠雅。悠雅……。





あたしはまぶたを強く閉じる。


そして思い出す。


『とらないで』


小麻里ちゃんの言葉の重み。

あたしが経験した苦しい日々………





「はあ……」



あたしは深く息を吐く。


大丈夫…
大丈夫……



あたしは自分の胸を抑える。


落ち着いて…



きっと…

忘れられる。


悠雅のこと


忘れられるから。