「話したいことがあるの。今……いいかしら?」
暑い。暑い。
夏の昼。
こんなにも
背筋が凍ることがあったかな?
そう思えるほどに
身体が冷えてしまう。
あたしは冷や汗を流しながら唾を飲み込む。
「は、はい……どうぞ…」
あたしは震える手で家の中を指差し
小麻里ちゃんを招き入れる。
「お邪魔します」
それだけ言うと
小麻里ちゃんは家の中に入る。
「……」
「……」
私には重たい沈黙。
私に話したいことがあると言った小麻里ちゃんは
何も言おうとしない。
い、一体話って何?
そんな考えがあたしの頭の中に
浮かんでくる。
ドキドキと心臓を高鳴らせ
あたしはついにこの沈黙に耐え切れなくなる。
「あ、あのさ…
ここじゃなんだし……上がっていって?
ここ、暑いし」
「美夜さん」
私の言葉にわざと言葉を重ねるみたいに
小麻里ちゃんが声を出す。

