玄関の覗き穴から
外を確認する。


あ、あれ?


誰もいない?


ピンポンダッシュかな?

なんて軽く考えたけど
もう一度インターホンの音が鳴る。


誰もいないのにどうして?


そんなことを考えながら
あたしは玄関の扉を開けた。





「あ…」



あたしは溢れてしまった自分の声に気が付くことなく
玄関の前に立っていた女の子に釘付けになる。



「こんにちは」


こんなにも暑いのに
凛々しく真っ直ぐした声に
あたしは我にかえった。


「あ、こ、こんにちは……小麻里…ちゃん」




そう、そこに立っていたのは
悠雅の彼女の小麻里ちゃん。


少し赤らめた頬と
額の汗がやけに色気を引き立てる。



でも、どうしてだろう。



こんなにも暑いのに


こんなにも心が氷つくのは……。