俺はやっと気がつく。


美夜が泣いていたことに。

美夜の顔が悲しみに歪んでいることに。



「え!?ど、どうしたんだよ、美夜?」



俺は慌てて美夜の肩を掴んで
顔を覗き込んだ。


でも美夜は何を言うわけでもなく

ただただ涙を流していた。


俺はどうすることも出来なくて
戸惑うことしかできない。


いったい俺はどうしたらいいのか?


そう考えていた時


「もう……無理…」


美夜の小さくて
震える声が俺の耳に届く。


「え?」


なに?

なにが、無理なの?


「もう、悠雅の嘘には疲れたの」
























「え…?」



俺の心臓が止まる。


俺の嘘?


なに、それ?


俺がいつ………いつ?

いつ、嘘をついた?

どんなときに
嘘をついた?


今、俺は嘘をついた?


そんなわけ、ない。


こんなにも胸が痛んで
好きだとわかって
美夜を見ただけでときめいたこの気持ちが


嘘なわけない。




「美夜……なに、言って…」


「もう、あたしの名前、呼ばないでよ…」



ずき……