「お前が一人なんて珍しな……
いつも女と一緒なのに」


そう、嫌味ったらしく言ってきた海哉に
少し苛立つ。


でも、海哉が言っていることは事実だから
反論なんてできない。



「お、お前こそ、こんなところで何してんだ」


俺は話題を変えようと
海哉を睨みながら話かける。



そうと海哉は少し黙り込んでから
整って綺麗な唇を動かす。



「悠雅、お前今暇だよな?」


「はあ?」


俺の質問は無視で
なんでそんなこと聞いてくるんだよ。


俺は少し海哉のことを
警戒しながら話す。


「ひ、暇だけど……」


睨みつけながら言っているのに
海哉は顔の表情をピクリとも動かさず
俺の腕をグッと掴んだ。


「え!ななな、なんだよ!?」


痛いぐらいに掴んできた海哉の手。


こ、こいつ
昔からすごい力だけど

どうしてこう……力の加減ってものがわかんないかな……。



「暇ならちょっと来い」


「え、お、おいっ!」


俺の返事も聞かずに海哉は目の前に建っている建物の中に俺を無理矢理連れて行く。


前に看板があったが
そんなの見ているわけもなく……


俺は海哉に連れられ
少し古びた大きな建物の中に連れて行かれた。