ズキ……。
寝ぼけているのか
光太くんがあたしじゃなくて
美夜の名前を呼んだ。
たったそれだけで
心がズキリと痛む。
そして、光太くんの瞼が薄らと開く。
潤んだ瞳があたしの方を見たけど
寝ぼけているのか
あたしのことを美夜だと思ってるみたいで……
「美夜…」
そう言って光太くんが
満面の笑みで微笑んだ。
ああ、
好きな人には
こんなに綺麗に笑うんだね。
あたしの心がまた痛む。
光太くん
光太くん……
あたしは自分の拳をぎゅっと握る。
光太くん
あたしにも、あたしにもその笑顔向けて欲しい。
もっともっと
あなたの笑顔を見ていたい。
「な……何?
光太……」
光太くんが
美夜とあたしを間違えている今だけ…
今だけでいい。
あたしに
あたしだけに
あなたの笑顔を見せて下さい。

