「き、来てしまった」



あたしは今
好きな人の家の前にいます。


だだだ、だってさ


あれだよ?あれ。


二日もさ、うん。


あの……光太くんが
風邪で演劇を休んでたんだよ?


いつも元気で
練習頑張ってるのに…



だだだ、だから
心配で……


って、言っても
なにかやましい気持ちがあるわけじゃなくて…


その、あ、あの………



うわあああああああ!!



なんて
あたしはなぜか一人で頭を悩ませていた。


そんなとき…



「あれ?てるちゃん?」



「は、はい!?」



あたしは家から出たきた美夜に驚いて
体をびくりとはね上げたと同時に
変な声で返事をしてしまった。



「どうしたの?こんなところで」



美夜は不思議そうな顔をしてあたしに近づくと
可愛らしい顔であたしの顔を覗き込んできた。



あ、ああ……やっぱり
光太くんと顔似てる……な。



なんてぼけっと考えていたら
美夜はまた不思議そうな顔をする。



「てるちゃん?」


「え、あ、ごめん!
あの、えっと……光太くんが
演劇の練習を二日も休んでるから心配で…」