光太はあたしに背を向けて
何も話してくれなくなった。



「……」


「……」



光太との沈黙って
こんなに気まずかったかな?




「あの……えっと…
ゆっくり休むんだよ?」



あたしはそれだけ言って
光太の前から立ち去ろうと
足を一歩動かした。



そのとき……



ガシ…。



「え?」



光太の熱い手に捕まった。



熱くて


いつもみたいな力がない光太の手に
あたしは驚いて動きを止める。



「こ、こうた?」



あたしが話しかけても
光太は何も言ってくれない。



も、もしかして……


寝ぼけてたりして……


光太の方を見ても
光太はあたしに背を向けたまま。


「………」


あたしは小さくため息を吐くと
光太の手を自分の腕から離そうとする。







「美夜」



「え、は、はい」



突然話しかけられて
つい、敬語をつかってしまった。



って、また名前で呼ばれた。



そんなことを考えていたら
光太が熱で潤んでしまった瞳で
あたしのことを見る。


















































「………その……あり、がと…」



今よりも顔を赤くして光太がそう呟いた。