「ほんとにごめんね…」
笑え。
笑え。
あたしは必死に自分に言い聞かせる。
あたしが笑わないと
光太がまた困ってしまう。
あたしは自分の口元を無理矢理笑わせる。
バレないように
光太に
絶対バレませんように。
そう、心の中で願いながら。
「ああ、俺こそ……ごめん」
「え、あ、ううん。あたしこそ…」
あたしと光太の間に気まず空気が流れる。
ああ、く、苦しい。
あたしはそんな苦しい空気に耐えることができず
笑顔のまま光太に笑いかける。
「あ、えっと、あたし…
宿題がまだだから…先に自分の部屋にもどる…ね」
そう言ってあたしは二階にある
自分の部屋に戻ろうと階段の手すりに手をかける。
早く
光太の側から離れたい。
だって
だってそうしないと…
この作り笑顔が
光太にバレてしまうから。
そう思って
階段を駆け上がろうとしたとき…
「バレバレだ……美夜」
そう言って
光太があたしを背中からぎゅっと抱きしめた。

