「な、んで……こんなに……ッ」


勝手に泣けてくるんだろう?




さっきまで
なんともなかった。


それに今だって……


悲しいわけじゃない。

ちょっとだけ
心が痛いだけ。



それなのに……


一度流れた涙が止まらない。



「なんで……なん…で」


拭いても拭いても
何度拭いても


とまらないよ……。





「美夜ァ、今、母さんたち出かけてるみたい……

って、どうした!?」


リビングから頭を出した光太が
泣いているあたしを見て慌ててあたしの方にくる。


ああ、光太に見つかった。


こんなところで
あたしがもたもたしてたから……


また光太に心配させて……





「こ、こう…だああああ……っ」





あたしは心配そうにあたしを見下ろす光太に飛びついた。