「い、いきなり大声だすなよ…」
俺はガンガンする自分の頭を押さえる。
「だ、だって、先輩が……」
それだけ言うと
小麻里は言葉を詰まらせた。
大きな瞳からポロポロと涙を流す。
!?
「え、お、おい!?
ななな、なんで泣き出すんだよ…」
まるで俺が泣かしたみたいだ。
なんて、そうじゃなくて。
俺は涙を流す小麻里の背中を撫でようと
また手を伸ばす。
バチンッ!
「い、いて!」
俺はまた小麻里に手を
叩かれた。
どうも俺に触られたくないらしい。
に、しても叩くほど嫌なのかよ!!
でも小麻里はそんな俺を無視するみたいに
何かを話しだした。
「先輩と付き合ったのだって……
美夜先輩を懲らしめようとしただけで
別に聖斗にまた会いたいからとかじゃな、ないし…」
そう言ってどんどん下を向いていく小麻里。
それと同じぐらい
声のトーンも小さくなっていく。
うん。
その言い方でだいたいわかった。
小麻里はまだ
聖斗のことが好きらしい。

