「……」
俺は何も言えず
黙り込んでしまう。
喉に溜まった唾をゴクリと飲み込み
汗ばんできた手をグッと握って
小麻里の瞳を見ないように
下を向いて………。
なにしてんだ、俺。
こんなんじゃ
こんなんじゃまるで…
「あたしのこと
好きじゃないんだ」
そう、まるでその通りだ。
小麻里の言葉が耳の奥まで響いて
俺の頭をグラグラと回す。
痛いぐらいに………。
「………」
俺は小麻里の言葉に何も言い返すことができず
ただただ黙り込む。
そんな俺を見かねたのか
小麻里は大きなため息を吐いた。
「知ってましたよ。
先輩があたしのことを好きじゃないって」
「え?」
その小麻里の思いがけない言葉に
俺は頭を上げて小麻里の方を見る。
「な、なんで…」
戸惑う俺の言葉に
小麻里はきょとんっとした表情をして首を傾げた。
「なんでって……先輩を見ていればみんなわかります」

