「可愛い、可愛い」


美夜の声が聞こえる。


美夜の手が
男の頭を撫でている。


そんな姿にドキリとする。


触るな。


触るなよ。


俺意外の男を
そんな風に触らないでくれ。


俺の心がキシキシと軋む。


だんだん痛くなっていく。


美夜が男に笑ってる。


笑うな。


俺だけを見て

俺だけに笑えよ。



ズキッ……


ズキッ…


ズキッ…



心臓が動くたび

心が痛くなる。


「美夜……」





思わず呟いた

俺の小さな小さな独り言。



その独り言が

まるで聞こえたみたいに

美夜に頭を撫でられていた男が
俺の方に振り返る。




「……ッ。あ、いつ……」



俺の方に振り返った男。


それは、俺の弟で

俺の方を冷ややかな目で見てくる。



なんで、あいつ……



すると、聖斗は冷めた目のままにっこりと微笑んだ。

そして、パクパクと口だけを動かす。















『早く思い出さないと
大事な子、奪っちゃうよ』